幼少期~学童期は、野球経験で培う“野球センス”を決定づける重要な時期です!

 子どもの成長発育の特性を理解するときに、一般的には右の「スキャモンの発達曲線」というグラフがよく使われます。成長発育を20歳のレベルを100%として考え、各対組織の発育の特徴を4つのパターンに分けてグラフ化したものです。そして、この曲線の中で、幼児期~学童期にかけてスポーツに最も関わりが深い曲線は神経系の曲線です。

 

 この時期は、巧緻性やバランス感覚などが発達するので、様々なスポーツや遊びを体験させることが重要で、その中で、基本的な運動動作の習得をしていく事が大切と言われています。また、この頃はスポーツとの出会いの時期でもあり、気軽に楽しく運動できるような配慮が必要です。スキャモンの発達曲線を参照すると、神経系統は生まれてから5歳頃までに80%の成長を遂げ、10歳でほぼ96%になります。この時期は、神経系の発達の著しい時期で、様々な神経回路が形成されていく大切な時期となります。神経系は一度その経路ができあがるとなかなか消えません。例えば、いったん自転車に乗れるようになると何年間も乗らなくても、いつもスムーズに乗れることができることから理解できると思います。

 この時期に神経回路へ刺激を与え、その回路を張り巡らせるために多種多様な動きを経験させることはとても大切なことです。子どもが成長していく過程では、器官や機能の発達進捗がそれぞれ違いますので、ある一つの課題に対しても、吸収しやすい時期と吸収しにくい時期が出てきます。そこで、最終的に大きな成長を期待するなら、最も吸収しやすい時期に、適切な経験と課題を与えていくのが最適な方法であると言えます。

 

 ちなみに、中学生の時期は主に一般型の呼吸・循環器系の発育が盛んになるので、一般的には、持久力をつけることを主眼におくと良いといわれています。

 

 高校生の時期は生殖器系の発育が著しく、ホルモンによる骨格筋の発育が著しい時期です。したがって、この時期には、力強さ(パワー・瞬発力)をつけるため、筋力トレーニングや瞬発力系のトレーニングを主眼におくと良いといわれています。

 

 上記は、あくまでも一般的な体の発育についての話です。しかし、偏ってはならないのは、この時期は、同時に子供たちの心がすくすくと育っていく大切な時期でもあるという事です。

 

 オリンピックやプロ選手の過去の競技成績をみてみると、子供の頃から活躍していた選手もあれば、いわゆる大器晩成型であとになって脚光をあびるようになった選手もいます。どちらのタイプでもその競技を継続できたことが栄光をつかんだ最大の要因と言っても過言ではありません。

 

 どれだけ才能のある選手でも継続できなければ栄光を勝ち取ることはできません。限りない可能性を秘めた子供たちが、スポーツを始め、選手として活躍するために継続することが大切です。そのためには本人の努力や家族の協力だけでなく、子供たちを指導する大人の役割も重要になります。体を鍛えるだけでなく、気持ちや心を大切にし、子供たちに理解のできる指導をし、夢中になって楽しくスポーツをさせることが大切だと考えます。